(認知症を支える家族の会)
2000年に始まった介護保険制度も今年で18年になります。
介護保険の始まる前、厚労省の担当者から制度の話を聞きました。
担当者は「走りながら考える」と言いました。生活に直結した介護制度には、人口や家族構成が大きく影響します。ピーク時の総人口は1億2,800万人、営利法人やNPOも含め多様な事業者が、在宅サービスに参入しました。
多様な事業者が競争すれば、良質で効果的な事業者が生き残れるとし、これで量的(供給量)には賄えると考えたのです。
介護サービスの商品化が進みました。10兆円を超えた市場の約半分を占める在宅サービス市場では、営利企業の参入が目立ち、今では訪問介護の3分の2、通所介護の半数を営利企業が占めています。営利企業の目論見は、高齢者人口の増大です。高齢者が増える時代には、医療・介護のサービスの専門分化が進み、サービスの質と効率の向上を両立出来るそこで、得意なところで勝負しようとしました。
ところが次に控える時代は、高齢者人口の減少でした。推計で2040年までに約160万人減ると言います。高齢者人口(顧客)が減り始めれば、事業者は倒産します。人口が減る時代の地域包括ケアに求められるものは、より広い領域のサービスをカバーできる事業者なのですから、それまでのモデルが通用しなくなると思われます。
営利企業であるかぎり、低所得者向けに価格を下げろと言っても、無理ですね。低所得層ほどサービスを利用しにくく、利用料(自己負担額)を支払えず、必要なサービスを受けられない人も多く出ることになります。実際にそういうケースもありました。
介護は医療や教育と同じく、誰もが生きていくうえで必要なサービスです。今後増え続けるのは、裕福な老人ではなく、生活費のなかから介護費用を工面しなければならない人たちなのです。
厚労省は「地域共生社会の実現の推進」を介護保険制度の見直しの柱としています。「共生社会の実現」とは高齢者と障害者の同一の事業者でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置づけるものです。
国の方向性は出ていますが、すでに高齢者人口が減少した地方もあります。見直しに向けた論議を始める時期ではないでしょうか。
2000年代の当初にはあった「予防の観点」から、軽度の支援を必要とする介護サービスに結びつけて行った介護保険制度の趣旨はどこへ消えたのでしょう。「そうは言っても財源は限られている」との論議があります。その条件自体が、適切な線引きになっているでしょうか。要介護1・2の高齢者が「自力で問題なく生活できる」のでしょうか。
また家族が居ない場合はどうでしょう。 実際には、個人によって認知症の度合いや移動可能な度合いに大きな差異があると思います。介護度の判定には、世帯の状況や経済的な事情が加味されないといったことも問題だと思います。
ですから、唐突のようですが、生活に必要なサービスが税で用意されていたらどうだろうかと思います。それであれば、商品ではない現物給付が生活の不安を解消できると思うのですが、いかがでしょうか。
10月2日(火)初秋の爽やかな日に、介護相談会が開かれました。
初めての方や県外からご参加の方も含めて、14名が集いました。
「今後どのように症状が変化していくかが不安です。」とおっしゃる方、特別養護老人ホームに入所されていて、96歳で尿のカテーテルをつけてはいるが、お食事も普通食で穏やかにお過ごしの方、亡くなられたご家族の遺産の問題でご苦労なさっている方など、さまざまなお話しがありました。介護を始められて間もない方、日々介護真っ最中の方、介護を終えられた後も種々の問題を抱えておいでの方、それぞれの立場の方が、具体的な解決法が見つからなくても、心の中のわだかまり、不安な気持ちなどを言葉にすることで、少しでも気持ちが軽くなっていただけたらと思います。介護相談会は些細なことでも一人で抱え込まず、みんなで話しあえる場でありたいと思っています。
11月3日(土)
午後1時〜4時
福祉センター2階 相談室
会員以外の方の相談も受け付けています。
一人で悩まずお電話ください。
介護経験者がお待ちしております。
プライバシーは十分留意いたします。
福祉センター2階 相談室へお越しくださっても結構です。
〇ケープ(渡辺ヨシさん考案・談)
病院での受診や点滴など衣類の着脱がしにくい母のために、カーディガンを利用してケープ様のものを作り、とても重宝しました。いろいろな方に紹介し、利用される方も多くありました。後に自分が骨折したときに使い、大変使い勝手がよかったです。
〇三角巾(渡辺ヨシさん考案・談)
骨折などで手を吊っている時、首筋がきつく痛そうだったため、首に当たる部分に柔らかいキルティングの布などを使って作りました。
ケープも三角巾も施設の方や医師にも好評でした。そのほか車椅子に座る際の足台などいろいろな品を工夫して作りました。すべて母の介護中に、少しでも快適に過ごしてもらおうと考え作ったものです。
〇文字であらわす説明書、手順書ラミネート版など(岡 三智子さん考案・文)
父が80代半ばのころ、なんだか物忘れが激しくなって困るなあと言っていました。
父は私の息子((当時介護士になるため専門学校に通っていました。)に、おじいちゃんはどうしたらよいのだろう?と尋ねていました。
息子が父に薦めたのが、日記を毎日書くことでした。
父は孫に言われてから、毎日日記を書き続けました。どうしていいかわからなくなるまでノート1ページくらい毎日の出来事や感想を書いていました。
私にも何か手伝いたいと言ってくれ、新聞をたたみ、まとめることを、できなくなるまでやってくれました。
食器を拭いたりもしてくれましたが、やがて説明書を作らないとやっていけなくなる時がきました。
同じことを繰り返したり尋ねることに対しても説明文を作りました。
「歯磨きは終わってます。」
「髭剃り終わっています。キレイになっています。」
「朝起きたら着替えます。着替えはお手伝いします。」
「トイレに行きます。」、「顔を洗います。」、「食事にします。」、「歯磨きをします。」など、できるだけ短い文で一つ一つ作り、ラミネーターフィルムで、パウチしました。パウチしておかないと、破いてしまうからです。
文字の認識が難しくなった時は、わかりやすい絵、写真を見せて説明しました。
◎30周年記念事業福祉機器展(11月3日、4日 福祉センター)に、ご家族の介護にと工夫し考案された手作り介護用品を展示します。介護用品を実際に作られた方も参加しますので、お話しも聞くことが出来ます。
手元にある「二十五周年記念体験集」の冊子を見ながら、「かまくらりんどうの会」が、認知症を支える家族の会として地道に、着実に歩んできたことに改めて敬意を表し、発足30周年のお祝いを心から申しあげます。
私が「かまくらりんどうの会」を知ったのは、木場さんが代表の時期でした。「認知症の人と家族の会神奈川県支部(以下神奈川県支部)、の事業として「地域のつどいー鎌倉のつどい」を鎌倉市福祉センターで実施しました。たくさんのご家族が参加し活発な交流がされました。私はそこでりんどうの会の活動を知りました。当時、「地域の家族会」は、まだ少なく、あったとしても月に1回、家族交流会を行っているくらいでした。今でこそ、あちこちで定期的に「家族会」が開かれていますが、年間を通して、相談事業や懇談会、会報の発行、会員の旅行を実施しているのは、県下では「りんどうの会」だけと言ってよいと思います。会員数も鎌倉市の人口比率でいったら「神奈川県支部」より多く、誰がこれらの活動を支えているのだろうと本当に驚き、感心しています。
会報担当の私は、その後も木場さんに「神奈川県支部」の原稿をお願いしたり、奥様が入所していた高齢者住宅の取材に伺ったりしました。京都の本部総会に鈴木さん、渡辺さんと3人が出席され、懇親会でお会いしたことも懐かしく思い出します。また「りんどうの会」は「神奈川県支部」の数少ない団体会員です。毎月の会報発送時に、会報を複数枚封入しながら感謝しています。
その後「りんどうの会」とのご縁が疎遠になっていましたが、鎌倉市が主催する研修会で講師に呼ばれ、現在「りんどうの会」の役員をしている菅井さん、石井さんとお知り合いになることが出来ました。
お二人とはほぼ同年代で話が合い、すっかり意気投合してしまいました。その後、副代表の向山さんともお会いし、「りんどうの会」の「つどい」で、脳活性化リハビリゲームに呼んでもらったり、平成30年度の総会では、私が地域で行っている「認知症予防と仲間づくり」を話す機会を作ってくれました。話は本当に申しわけないくらい稚拙でしたが、会員の皆様が温かく聞いてくださり、先にお話しした脳活性化リハビリゲームでは、皆さんが心から笑って、楽しいひとときを過ごすことができました。
その時々の会員の皆様との触れ合いもさることながら、役員との打ち合わせもとても楽しく、「りんどうの会」は、私にとって親しい気のおけない場所になりました。同じ認知症の人と家族を支えるボランティアとして、気持ちが一つになり、私は多くの刺激をもらっています。
「鎌倉りんどうの会」が、これからも40周年、50周年と、さらに充実し、継続されることをお祈りします。
「かまくらりんどうの会」創立30周年にあたり、田村加代子さんよりお祝いのお言葉をいただきました。ありがとうございました。
私たちは、先輩の方々がこれまで積み上げて来られた活動を今後も継続し、認知症の方はもとよりご家族、地域の方々それぞれが理解を深め、大切にし合う暮らしに少しでも役立つことができるよう精一杯努めてまいりたいと考えています。
かまくらりんどうの会創立30周年記念事業
福祉機器展 じょうずに使ってあかるい生活
〜福祉機器にふれてみませんか?〜
日 時 平成30年11月3日(土)4日(日)午前10時〜午後4時
ところ 鎌倉市福祉センター2階
〇身体移動の機器から日用品まで、利用者に心地よい最新の機器を展示
ご紹介します。
〇介護家族や介護者が、利用者の方々のために、工夫し、手作りした物や、
市販品で使って便利だった品物もご紹介します。
〇介護の困りごともお話しください。
りんどうの会会員は介護経験者です。ご一緒に考え、知恵を出し合って
行きましょう。
虫の鳴き声もいつしか消え、秋も一段と深まって日だまりの恋しい季節となりました.紙面でお知らせしていますように今月は30周年記念事業があります。福祉機器のめざましい進化を体験していただきたいと思います。ぜひお出かけください。晩秋の冷気を感じる季節お体をお大切にa.y
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☆会報へのご意見、ご要望は下記の発行者、編集担当までお知らせ下さい。
発行者:かまくらりんどうの会 代 表:渡邊武二 TEL45-6307
編集・印刷:菅井 TEL 46-5369 山際 TEL 24-8765
曜日 | 内 容 | 福祉センター | 時 間 | |
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11月2日 | 毎週金曜日 | コーヒーポット | 稲村ガ崎きしろ | 13:30〜15:30 |
11月3日 | 土曜日 | りんどう電話相談 | 相談室 | 13:00〜16:00 |
11月3日・4日 | 土・日曜日 | 30周年記念事業福祉機器展示会 | 第1・2会議室 | 10:00〜16:00 |
11月6日 | 火曜日 | 認知症介護相談会 | 団体活動室 | 13:00〜15:30 |
11月9日 | 金曜日 | 運営委員会 | 団体活動室 | 10:00〜12:00 |
11月15日 | 木曜日 | 交流会 | 団体活動室 | 13:30〜15:30 |
11月23日 | 金曜日 | 会報印刷 | 団体活動室 | 9:00〜12:00 |
曜日 | 内 容 | 福祉セン ター | 時 間 | |
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12月1日 | 土曜日 | りんどう電話相談 | 相談室 | 13:00〜16:00 |
12月4日 | 火曜日 | 認知症介護相談会 | 団体活動室 | 13:00〜15:30 |
12月7日 | 毎週金曜日(第3金曜21日まで) | コーヒーポット | 稲村ガ崎きしろ | 13:30〜15:30 |
12月14日 | 金曜日 | 運営委員会 | 団体活動室 | 10:00〜12:00 |
12月20日 | 木曜日 | クリスマス会 | 団体活動室 | 13:30〜15:30 |
12月25日 | 火曜日 | 会報印刷 | 団体活動室 | 9:00〜12:00 |