3月の話題

◇〜みなさんのお便りから〜◇

母とクリスマス会へ
　昨年12月のクリスマス会に母と参加させて頂いた者です。
12月母は施設の中で三階から一階に移動があり、環境が変わって少し落ち着かなくなっていた時だったので心配だったのですが、りんどうの会の皆様のお蔭で、とても楽しく過ごすことが出来ました。おかしなことを言う母に、普通に優しく楽しく話して下さり、とても有難く思いました。
　また帰りに施設の方が母を迎えに来てくださった時、向山さんが、もう車に乗って帰りかけていたのを、わざわざ車を止めて降りて来られて、施設
の人に「ありがとうございます。またよろしくお願いします。」と言って
下さいました。自分の身内の様に言って下さっているのを見て、本当に有難
いと思いました。また以前よりも少し進行している母の事を「ちっとも変
わらず、お元気ね。」と言って頂けたのも、嬉しく有難かったです。
　先日テレビで認知症の「希望の星」といわれる方の番組がありました。
認知症は進行を止められないと言われていますが、その方は、ご家族や周り
の方の接し方やご自身が仕事をする、歩く、いろいろな人と接することな
どで、進行がかなり遅くなっているというお話でした。母も私がなるべく会
いに行って歩いたり、話したり、歌ったり、笑ったりしていれば元気でい
てくれると信じていくことにしました。りんどうの会の方々に親切にして頂
いて、また明るい気持ちで母に会いに行く元気を頂きました。
　最後にクリスマス会では、プレゼントやおいしいケーキありがとうござ
いました。会の企画やご準備、またお便りなど大変なことと思います。お礼
申し上げます。これからもよろしくお願い致します。　H.M

実習生が感じた「かまくらりんどうの会」　池田金蔵
　「かまくらりんどうの会」には大学生が実習に来られる時があります。
ある大学生から私宛に「かまくらりんどうの会」に実習に来られた時のお手
紙を頂きました。その中に「かまくらりんどうの会」の良い点の事が記さ
れていましたので、ご紹介させて頂きます。
かまくらりんどうの会の良い点として
1、介護から手の離れた方も会に参加して会員の方を支えている。
2、会報がとても充実している。
という点をあげていらっしゃいました。以上ですがとても有難い事と思い、
皆様にご紹介させて頂きます。

介護の悩みお電話下さい。りんどう電話相談（認知症相談）

3月5日(土) 3月19日(土)
午後１時〜４時

福祉センター2階　相談室

会員以外の方の相談も受け付けています。
一人で悩まずお電話ください。

介護経験者がお待ちしております。
プライバシーは充分留意いたします。
福祉センター２階　相談室へお越しくださっても結構です。

私の思い　一人住まい　延原邦彦

　私は87歳にして、今初めて「一人住まい」を経験している。祖母、両親四人兄弟の末子として北海道の東端根室という町に生まれた。当時商売をやっていて数人の店員さんもおり、食事時間はとてもにぎやかなものであった。また町のお祭りの時とか、暮の餅つき時とかも大変なものであった。大東亜戦争が始まり、二人の兄が兵隊に取られ、店を閉じ、父は勤め人として根室から札幌に移住した。終戦の一ケ月前に根室が米軍の空襲に会い、一日にして町は灰燼と化し、当然私が生まれ育った家も無くなった。その後は駐車場になっていた。

　再びこの地を訪れたのは、大学を終え内地に就職する前年、もう二度と
訪れることはないだろうと思い、日帰りではあったが、根室駅のホームに立
った。
　戦後12年経っていたので、町はもう昔日の面影は一つも残ってなく、旧
家周りの商店街も至って淋しいものだった。知らない別の町を散策するよう
な感じだった。ただ町の道筋は昔のものであり、根室港、オホーツク海の
彼方に横たわる国後、知床半島の連峰の眺めもまた、子どもの頃に見た昔の
ままであったので、たちまちタイムスリップし、12歳の私になっていた。
　小学校の先生の家は戦災にあわないで居られたので、お尋ねしてみた。
元気で居られ、楽しい思いで話に一時を過ごせたのは幸いであった。ただ、
クラスメートには一人も会えなかったのはとても残念だったが、考えてみ
れば町が全焼して12年も経っているので、多くの友は根室を離れているよう
であった。


　夢を抱いて就職し、横浜八津坂の独身寮生活がスタートしたものの、半
年も経ずして会社が経営不振に落ち入り、月給がもらえなくなった。ただ寮
生活だったので三度の食事だけにはありつけた。経営不振は朝鮮事変が原
因であった。その理由は、この会社がその戦争でボロ儲けし、経営者がさら
に投資したところ、終戦で投資が仇となったのである。
　私の仕事は戦争向けの製品とは関係は無かったが、同じ運命と相成り、
大学の教授に就職を依頼したものの世は不景気で、私が希望する「機械設
計」の仕事は無かった。今はこんな所しか無いよと示されたのは、なんと
「製糖会社」で、場所は静岡だった。当然私は先ずは断ったものの、これしか
選択の余地がなかったのも事実で、仕方なく受け入れた。人生は「成り行
き」で生きるしかないと後々思う次第である。
　結果的には、また数年を経ずして、最初の会社の上司から誘われ、静岡
から鎌倉に移り、「機械設計」の本職に戻り、定年プラスアルファーまで務
めた。ただ静岡時代の6年間に、三保の松原の天女ならぬ、今のワイフと結
婚もし、二人の娘をもうけ、それぞれ大学まで教育し、結婚させて、現在
四人の社会人の孫を持つ身となった。

　私の人生は平凡だが、これで一応「満足」と言いたいところだったが、
「ワイフの異常」で暗転した。身体の異常も大変であるが、脳の異常も全く
それに劣らないものだ。知的会話が不可能だからである。私にとっては、
たとえ寝たきりであって、たとえ下の世話が大変でも・・・と思うのである。
ワイフは現在「老人ホーム」に預けているので、生活上の世話労働はして
いない。

　かくして私はほぼ一年近く一人暮らしをしている。この生活を何時まで
続けるかは「神のみぞ知る」であるが、当分続けざるを得ないようである。
　一人生活で痛感したことは、三度の飯支度の面倒さでもなく、部屋の掃
除の面倒さでもない。男の気ままな一人生活なんて、少しも楽しいものでは
ない。「空虚な時間と空間」を持て余しているだけである。大好きな音楽
を聴いても、全然楽しくない。好きな「寿司」を食べても、美味しくもない。
価値観というものは、あくまで相対的なものであることがよく分かる。同
じ環境で同じ行動をしても、「幸」であったり「不幸」であったりするもの
だ。「愛する人」が傍にいるといないとで、あなたは天国か地獄にいるこ
とになる。ただここで「愛する人」を亡くしているケースと、単に傍にいな
いで、別の所にいるというケースでは、如何なる差があるのだろうか。後
者はその気になればいつでも会えるのだから、比較は全く意味が無かろう。
　私はまだまだ恵まれているのだ。気落ちすることは全くない。
　明日にでも会いに行こう。