(認知症を支える家族の会)
認知症の方は、周囲の環境や関わり方によって、良くも悪くも変化します。
ケアでは対応を工夫することがポイントですが、様々な療法やリハビリなどの研究も行われてきました。今月はケアの場面で行われている、薬を使わない非薬物療法についてご説明します。 その方に合った運動・作業・活動を提供するのが非薬物療法ですが、認知症の方と家族の方を支援する関りや環境を整えることも重要な要素です。
現実的な介護の場面では、スタッフに認知症に対する知識があり、対応を心得ているデイサービスや施設を利用することを勧めます。
厚生省が『新オレンジプラン(認知症政策)』で打ち出しているのは、認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて「認知症の方が認知症とともによりよく生きていくことができる環境整備がもとめられる」とし、『地域包括ケア』『認知症集中支援チーム』の設置や、かかりつけ医の認知症対応力の向上、認知症サポート医の養成などの政策です。
認知症者は、2012(平成24)年には462万人、2025(平成37)年には700万人(5人に1人)に増えると見込まれます。対策のスピードアップを望みます。
以下に紹介するいずれの療法も、記憶障害や見当識障害、実行機能障害などの認知症中核症状(誰にでも見られる症状)に対して覚醒を促し、指示が入りやすい状態を作ることです。そして、ご当人が好きだったこと・興味のあること・得意なことを楽しく取り組める社会参加の場として活用できます。昼間の覚醒時間も確保できます。
また、ご本人と距離を置くことで、ご家族も穏やかに過ごせるのではないでしょうか。
豊かな余暇活動をしている人は認知機能障害が進みにくいというデータもあり、何らかの治療効果があると言えます。現時点で効果があるとされる非薬物療法について説明します。参考にしてください。
イ:音楽療法 音楽を聴いたり歌ったりすることで気持ちが落ち着いたり、気分が良くなったりする経験をしたことのある人は多いでしょう。音楽療法は、こうした効果で認知症の症状の改善を目指すリハビリテーションです。
食事や介護などの場面で音楽を聴きリラックスすることでスムーズに食事ができ、介護時の抵抗が和らぐといったことが期待されます。自ら歌を歌ったり、楽器を演奏したり、数人で合唱やカラオケ大会をしたり、音楽に合わせて体操やストレッチなどの簡単な運動をしたりします。取り入れる音楽は気持ちが落ち着きやすいクラシックやご当人にとって懐かしい歌謡曲、演歌、童謡、唱歌などです。音楽を聴いたり歌ったりすることで脳の血流が増し、脳が働くためのエネルギー源である糖が運ばれる量も増えます。それによって脳が活性化し、徘徊など認知症の周辺症状の改善が見込まれます。また、当人が過去に親しんだ音楽を聴くことで当時を思い出し、記憶力が改善された事例も報告されています。
ロ:リアルテーオリエンテーション(現実見当識訓練) 着替えや排せつの介助など、日々のケアの中で、スタッフが意図的に認知症者の注意や関心を天気・曜日・時間に向けたり、室内に飾られた季節の花・朝食に味噌汁のにおい、旬の魚を焼く香りなどを利用して見当識を補う手がかりを与える療法。今日は何月何日か、季節はいつか、今いる場所がわからないことを解消したり、現実認識を深めることを目標にします。
ハ:回想法 回想の課程は癒す力があり、古い記憶が比較的最後まで保たれるという特徴を活用する方法です。 思い出を語って貰ったり、音楽やぬり絵、絵画、香り、プリント課題、動物などの過去を思い出す道具を使い、感覚や認知、感情行動への働きかけを行い、脳の活性化や精神的な安定、問題行動の軽減を促す療法です。心理療法の専門職が対応し、評価するシステムです。
ニ:バリデーション療法 バリデーション療法の特徴は、痴呆症の方が騒いだり、徘徊したりすることにも「意味がある」として捉え、なぜ騒ぐのか、なぜ徘徊するのかを患者の歩んできた人生に照らして考えたり、共に行動したりするというもので、「共感して接すること」に重点を置いた療法です。
ホ:ユマニチュードは、ケアされる患者さんと、一人の人間として向き合う事から生まれる認知症ケアです。創始者はフランス人で、彼らの考え方と経験から生まれた療法です。ユマニチュードは“見る”、“話しかける”、“触れる”、“立つ”の4つの基本を組み合わせて行います。“見る”は同じ目線の高さか相手より下から、約20pの近距離で優しく目を合わせます。“話しかける”は、優しい声のトーンでケア中も常に声をかけ続けることです。“触れる”は、包み込むように優しくゆっくりと触れることです。“立つ”は、立位でケアするなど1日20分以上は立つ機会を持つことです。 この4本柱を基礎としたユマニチュードの技術を取り入れることで、認知症の患者さんの不安や恐怖を和らげることができ、認知症の方が人としての価値や大切にされていると感じて信頼関係が強まり、結果、無表情だった患者さんに笑顔が戻り、感謝の言葉を口にするなどの変化が見られると指摘しています。
へ:認知症のリハビリは作業療法士(OT)が担当することが多く、リハビリを効果的に行うポイントは、「体を動かす」「考える」「心の満足」の3つをできる限り同時に取り入れ、考えながら適度な運動を行うことで脳に刺激を与え、他者からの感謝などを通して心の満足が得られる、といったイメージです。段取りを考えながら複数の作業を同時に行うことで、脳の活性化が期待されます。頑張っていると家族から認められ、自分が必要とされている気持ちを持ちやすく、心の満足も得られやすい。
ト:その他、芸術療法・タクティールケア(手で優しく触れることで、精神的な安定をもたらす)・アロマセラピー・園芸療法・学習療法・ペットセラピー・レクレーション療法などがあります。
種々の療法から言えることは、本人が楽しいと感じて、自らやりたいと思っていることなら効果が期待できるという点です。様々な療法はご本人に楽しい事柄であると感じて貰うところに焦点が当たっています。
*坂井レイ子さんは、元ケアマネとして当会の電話相談にもご協力いただき、豊富な知識とご経験からアドバイスをいただいています。
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1月7日(土)
午後1時〜4時
福祉センター2階 相談室
会員以外の方の相談も受け付けています。
一人で悩まずお電話ください。
介護経験者がお待ちしております。
プライバシーは十分留意いたします。
福祉センター2階 相談室へお越しくださっても結構です。
11月8日会員4名で聖テレジアの介護教室に参加しました。
普段体験できないリフトでの移動や家庭ですぐに使える体位の移動・交換用のシート、ミトンなど最新機器とグッズの使用体験をしてきました。移動用リフトは恐怖感もなく、ソフトな感触で、安心して身をまかせられることに自分でも驚きました。さっそくケアマネさんと相談して、自宅で使ってみたいという介護家族の方もいらっしゃいました。またパラシュートの生地で作られているミトンとシートでの体位交換のスムーズさにはビックリしました。機器、グッズともにレンタル可能とのことでした。
私が参加させていただく機会を得たのは社会福祉士資格取得のため実習の一環として鎌倉市社会福祉協議会の方が学びの場を設定してくださったからでした。
認知症家族の介護経験のない私ですが、80代の両親が4人おり、介護者の方の心の叫びや苦悩は決して他人事とは思えませんでした。
私が特に心に残ったお話は「家族が疲れ果てるくらいなら専門家の方にお任せするほうが、認知症の方も落ち着かれる。ご本人も慣れていきますよ。」「預けたままにせず、家族の働きかけに対し、ご本人の反応をつぶさに記録し、医師や看護師、施設の職員に伝えること。それは専門家にとって重要な資料になり得るのです。」「入院した場合でもスキンシップ、話しかけは大切です。顔を見せてあげること。何も反応がないように見えても、耳は生きています。ということは脳も生きているということ。」などでした。
さらに胃ろうの造設のとらえ方について「胃ろうは、80代90代では延命につながるが、60代70代では、体力をつけるための途中経過という考え方になってきている。体力がつき、口から摂取できるようになれば、胃ろうを抜くこともできる。医師としっかり相談してください。」というお話も心に残りました。
介護先輩経験者の方がたの具体的な情報、的確であたたかなアドバイスは、長い介護生活の中でのご自身との闘い、工夫、創造から抽出された知恵と英知の結晶であり、患者に一番近い家族会であるからこそ専門性を有するという事実は最大の発見でした。
私が目指す社会福祉士は、行政、病院、社会福祉協議会、そして「かまくらりんどうの会」のような「社会資源」と連携し、患者さんやそのご家族が無理せず、その人らしく生きていくお手伝いをさせていただく仕事です。自らが学んでいく意義を再確認できた貴重な一日となりました。
*藤本さんは実習生として11月介護相談会に参加されました。
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紅葉が見られるようになった暖かな日、初参加2名を含め13名が集いました。「鎌倉」「ふるさと」の歌を皆で合唱した後、NPO法人気功協会の北村陽子さんの指導で「心がおちつくやさしい気功」を行いました。
椅子に座ったまま、頭をトントントンとたたき、肩、腕、腰も軽くたたきほぐしました。次に両手をいたわるようになで、その手で顔、頭、首筋、耳もやわらかになでました。呼吸は常に鼻からゆっくり吸って吐いてを繰り返しました。ポカポカになった両手で胸をなでおろしたり、お腹にそっと置いて暖かさを感じました。
両手を楽に下げて首をゆっくりと回し、身体も波のようにしなやかにゆらしました。最後は抱きしめるように両手を胸にそっと重ね楽に呼吸をした後、腿からつま先までやさしくなでさすりました。
北村さんの「『いつも頑張っているわね』とご自分をいたわりながら行ってください」と言う言葉を聞いて、実は私は涙がこぼれていました。
心地良い音楽と北村さんの優しい声が、私の心を落ち着かせてくださいました。
ティータイムでは介護経験者の思いを伺いたいと初参加された方を中心にお話しをしました。その方自身の体調も万全ではないと言うことでしたが、同じ状況の会員からアドバイスを差し上げました。「次回の相談会へも是非いらしてください」とお誘いして交流会はお開きとなりました。 y・k
気功を体験しました。
交流会に参加し、気功を初めて体験しました。気持ちの良い音楽と先生の柔らかい言葉のご指導で、まるで高原にいるような爽やかなゆったりした気分になり、とてもリラックスできました。夜も熟睡できました。(翌朝一度も夜間に目が覚めていないことに気がつき、驚いてしまいました。)
またぜひ体験したいと思います。 T・K
先生の静かな優しい声のトーンが心地よく、自分をいたわるように・・という北村先生の言葉に思わず涙が出そうになりました。なんとなく難しいものと考えていた気功でしたが、暖かく落ち着いた気分になるものでした。
m・m
◎11月より、交流会で20分程度のミニ講座を設けています。11月は気功でした。次回は2月歯科衛生士を講師にお迎えし、口腔衛生(口の働きや清潔にすることの大切さ、方法などをお話ししていただく予定です。
秋の日差しに銀杏の落ち葉が輝いていました。小春日和の中、多くの方のご出席がありました。認知症の方を介護するということは、健康な人にとっても心理的にも体力的にも大変なことです。まして介護者が病気を持っておられる場合、そのご苦労はいかばかりかと、深く考えさせられました。
認知症介護の経験のない方には、なかなかわかっていただけない苦労や悩みなど、胸の中に溜まっているものを言葉にすることで、少しでも心が軽くなるかもしれません。どうぞお気軽に相談にいらしてください。
曜日 | 内 容 | 福祉センター | 時 間 | |
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1月7日 | 土曜日 | りんどう電話相談 | 相談室 | 13:00〜16:00 |
1月13日 | 金曜日 | 運営委員会 | 団体活動室 | 10:00〜12:00 |
1月13日 | 毎週金曜日 | コーヒーポット | 稲村ガ崎きしろ | 13:30〜15:30 |
1月26日 | 木曜日 | 新年会 | 第1・2会議室 | 11:30〜15:00 |
1月27日 | 金曜日 | 会報印刷 | 団体活動室 | 9:00〜12:00 |
曜日 | 内 容 | 福祉セン ター | 時 間 | |
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2月3日 | 毎週金曜日 | コーヒーポット | 稲村ガ崎きしろ | 13:30〜15:30 |
2月4日 | 土曜日 | りんどう電話相談 | 相談室 | 13:00〜16:00 |
2月7日 | 火曜日 | 認知症介護相談会 | 団体活動室 | 13:00〜15:30 |
2月10日 | 金曜日 | 運営委員会 | 団体活動室 | 10:00〜12:00 |
2月16日 | 木曜日 | 交流会 | 団体活動室 | 13:30〜15:30 |
2月24日 | 金曜日 | 会報印刷 | 団体活動室 | 9:00〜12:00 |